【零細企業経営者的視点】育休は積極的に活用しよう

出産・育児に関してもらえるお金というと、「出産一時金」と「育児休業給付金」の二つが代表的です。
今回は特に「育児休業給付金」に関して、会社を経営する側の視点を踏まえてみてみます。

女性社員「育休取ってお金をもらうなんて、会社に迷惑がかかる」
男性社員「育休は女性の取るものだし」

なんて考えている人は今でもいるんじゃないでしょうか?
もちろん、育児休業は権利なので、積極的に取りましょう!

経営者側も金銭的な損は特にないし、もしかしたら会社のステップアップにつながることも?

 

育児休業給付金はどこからでるの?

まず、自分が起業してからしばらく、この手のお金は会社が全額負担するものだと思っていました。
なぜそんなことを思ったか?

そりゃ、女性は出産したら会社を辞めるのが普通だと思っていたし、男性が育休を取るとか聞いたこともなかったからです。
ひどい時代錯誤ですが、10年近く前は結婚はしていたものの、子供はおらず、親しい友人もほぼ子供がいなかったので、出産育児に関する認識は自分が子供のころと大差なかったのです。

しばらくして従業員に女性が入ってきたときに「さて、どうしたものか」と思って、知人の経営者に相談したところ、「会社からは何も出さないよ」とのこと。

「え???」と頭の中にクエスチョンマークが出たのを覚えてます。

詳しく聞くと産休やら育休は社会保険や雇用保険から出るといいます。
そうなると、なぜ女性は出産したらやめなきゃいけないのか?男性は育休をとらないのか?不思議でならない。

 

育児休業給付金の出どころは雇用保険です。
皆さんが給与を受け取る際になんだかんだとひかれているものの一つです。
雇用保険といえば失業給付(失業保険)のイメージが強いですが、雇用継続給付と呼ばれるものの中に育児休業給付が含まれます。
介護休業給付なども雇用継続給付のひとつです。
育児休業給付に関してくわしくはハローワークへ

育児休業給付金は雇用保険から出るわけです。
毎月払っている保険料からもらうのだから受け取るのが当たり前の権利です。
※休業開始前の2年間に賃金基礎日数11日以上ある完全月が12か月以上あることが条件。簡単に言うとその会社に入っていわゆる正社員になって1年経っていないと受給資格がありません。詳しくは所属の会社に確認するかこちらのハローワークのページを確認してください。

仮に、育休後の復帰を決めかねている場合でも、育休は取得していいと思っています。
制度的にはNGなのかもしれませんが、それまで保険料を払ってきたのだし、育休中に今後の人生に対する考え方は大きく変わるはずです。復職予定だったけど、やはり子育てに専念したいと思うこともあるはずです。

また、育児休業期間中は社会保険料が免除になります。
ちなみに、雇用保険料は給与が支払われないとかからないです。
これに関しては、育児休業中も10日間(10日を超えても80時間以内)は就業可能で、その分の給与を受け取ることが出来ます。
その際は雇用保険もかかってきます。

 

では、会社が払うお金は?

企業側は何か支払うのか?
基本的に支払わなくてもOKです。
とはいえ、育児休業給付は給与の67%(育児休業開始から6か月経過後は50%)なので、福利厚生の一部として企業独自に給与100%を保証するなどの場合を除きます。

また、先にあげたように育児休業期間中は社会保険料が免除になります。
これは被保険者に加え、事業主分も共に免除になります。

となると、社員が休業中には特に支払いは発生しないことになります。

ならば、その分のお金でアウトソーシングをしてみたり、新たに社員を雇うことも可能になります。
小さい企業としては社員を増やすことはリスクを伴いますが、仮に1年間育休で社員が少なくなるなら、新たな社員を雇い入れ、元の社員が戻ってくることにはその分、事業を拡大するということも出来ると思います。

 

会社は払うどころかお金をもらえることも?

育休を取得させることで、助成金等を得ることもできるかもしれません。
厚生労働省の「両立支援等助成金」など育休取得に関する助成や、代替要員の雇用に関する助成などもあります。
詳しくは厚生労働省の該当ページをご確認ください

東京都では今年「働くパパママ育休取得応援奨励金事業」として奨励金を支給することになっています。

女性従業員が1年以上の育休を取得して、復職後3か月以上継続雇用した場合、125万円の奨励金を得ることが出来る可能性があり、男性従業員の場合は最大で300万円の奨励金を得られる可能性があります。
詳しくは東京都TOKYOはららくネットの働くパパママ育休取得応援奨励金事業ページをご覧ください

余談ですが、弊社は4月にスタッフが育休から復帰したのですが、この奨励事業5/15以降に復帰した人を対象としているのです。
4月から5月の頭(ないしGW明け)は復帰者が多いのを見越しての日にちだろうなと思い、なんとなくモヤモヤ。

国の方針としても、男性の育休所得を2020年までに13%にするという目標を掲げているので、助成金などが増える可能性があります。

 

優秀なスタッフが一時的にでも職場を離れるのは痛い

優秀であればあるほど、特に零細企業にとってスタッフが一時的にでも職場を離れることは痛いです。
しかし、それを「マイナス」と捉えているようでは会社として立ち行かなくなるのは目に見えています。

会社を構成する大切な要素である社員が、家庭を大切に出来ないような状況で働いているとしたら、いったい何のために会社を経営しているのかわからなくなります。

育休を「プラス」と捉えワークライフバランスを整えることが出来るように会社の状況をより働きやすく整備しすることで、社員のモチベーションをあげることもできるかもしれません。
今まで使っていなかったアウトソーシングやテレワークなどを導入するのもいいかもしれません。

育休取得後、きっと今まで以上に成長して帰ってきてくれるだろうし、環境を整えることで新たな社員を募集する際にも強みになることでしょう。

 

育休はどんどん取得しよう

せっかくある制度なんだし、育休はどんどん取得しましょう。
企業としても、それをサポートする制度もきちんと活用すればいいし、これからの時代、育休もまともに取得させられないようでは、企業として成長していくことは出来ないでしょう。

 

 

 

本題は育児休業給付ですが、出産に関するものも

「出産一時金」は国保・社保共に基本的には42万円※がもらえます。
※産科医療補助制度に加入していない医療機関の場合はともに39万円
こちらは日本国民であれば、国保には入っているので、申請をきちんとすれば必ずもらえます。
奥さんを扶養に入れている場合なども社保から給付されます。
個人的には、上限を設けず、出産費用くらい国が全額負担しろよと思いますが、これはまた別のお話。

ちなみに、社保の被保険者が出産する当事者(女性)の場合、「出産手当金」も受け取れます。
詳しくは全国健康保険協会の該当ページを見てください。
ざっと説明すると、出産予定日の以前42日間と、出産から56日間、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当するの額が支給されます。

全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」より引用

 

子育てとーさん
東京都在住。妻と4歳の男の子、2歳の女の子、犬と共に暮らす、アラフォーのIT関係会社経営。 家族やその他の方々とのコミュニケーションが最近の関心事。気持ちのやり取りは難しい。

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